「運河の俳句」の記事一覧

運河の俳句 4月号より
恋のささやき   谷口 智行 きさらぎの伯母峰おもふ平群をおもふ   灘沖のひかりまぶしき涅槃かな山ひとつ越えきて楤の芽を摘めりちるものはちりてさくらの咲きそろふ花筏ちさき手波にくづれけりぶらんこをしつらへてゐるホルトノキ春昼の止血鉗子を落…
運河の俳句3月号より
谷口 智行寒のいかづち初日出づ潮ふくらむきはみより木々の秀は神の依代むつび月初電話天麩羅揚ぐる音聞こゆしたたかに寒鰤を獲て帰りくる師を思へば寒のいかづち一つ鳴る杜ふかくゆらげる灯し紀元節韓のひと芹葉黄蓮掘りゐたり梅探る木雫止むを見はからひ…
蠟梅
運河2月号より
鷹ひとつ  谷口智行奈良かつて大和湖の底竜の玉大和にも縄文海進うつた姫開戦日ぐらり止まる波がしら時化あとの波音近き障子かな延縄の大博打とて九絵ねらふ        『万葉集』に、鷹狩に興ずる大伴家持から逃げた「大黒」という鷹ありて、鷹ひと…
運河の俳句 1月号
野老飾る  茨木和生 山で掘り来たる野老を飾りけり      2022年版「俳句年鑑」より転載 歳神を讃ふる吉書束ねけり持込みの酒のいろいろ薬喰赤土を二鍬のせて葱囲ふ地に触るるごとくに飛んで綿虫は山畑の畝間落葉を入れ足せり松二本立てて年縄掛けに…