HOME運河の俳句 運河の俳句 5月号より 2022年4月29日2022年5月28日 運河の俳句 もの言ふくちびる 谷口 智行鰹来るころ海境のすみれいろ波音をそがひに蕗の若葉摘む芳春の紀へと運河の引かれけりお四国のまんまんなかの山桜春の鳶港の空に飼はれゐる米の田の四方をかこみて麦青む乾きたる水車のきしむ登山口弔客のおのもおのもの日焼がほ玉巻く芭蕉百歳のゆたけき死痩せ浜のぬかるんでゐる浜払子縁側をいたく気に入り雀の子 藤 勢津子剪定の枝白雲へ比良山へ 浅井 陽子柊挿す室生村立小学校 松井 トシ風花やあをあをとある物の影 山内 節子辛夷咲き戸数変はらぬ暮しなほ 井上 綾子海鼠腸や真砂女の店を知る人と 小畑 晴子一族の若返りたる初座敷 永田 英子朧夜の箱より出せる偽真珠 上野山明子着ぶくれて貰ふ毛染めの試供品 中川 克己森の声星の声聞く初詣 小林 恕水暮石師の杖を拝借楤芽採る 田和三生子北面をけはしく削ぎて山眠る 御江 恭子楮剝ぐ湯気引きちぎり引きちぎり 山尾カツヨ寒の雨真青なる鳥過りけり 藤田 駒代あさもよし紀へ春めける岩跨ぐ 辻 佐和子枇杷の花姉とおんなじ肝斑つくり 山中千恵子春雪に潮の匂ひ濃かりけり 吉岡 葉子春日燦燦丸の内ティールーム 二谷久美子丁寧に絵筆を洗ひ日脚伸ぶ 草地 明子黄身ふたつ出る人日の朝御飯 中川 悦子 4月8日付「紀南新聞」に掲載 特別寄稿 木割 大雄