冨田 美子 記

 

 七月二日(日)梅雨には珍しい快晴の一日となった。JR大和路線の三郷駅に集合。安村坂とも呼ばれる龍田古道を上り、吟行地の龍田大社へ向かう。龍田大社は約二千百年前の創建で、祭神は風を司る神で、五穀豊穣と航海安全、交通安全、長寿祈願をする人が多い。 大正時代に海軍巡洋船「龍田」の艦内神社として分祀され、その慰霊顕彰碑や、日露戦争の戦利品の大砲と砲弾も置かれている。現在「龍田」の名は、海上保安庁の巡視船「たつた」に引き継がれている。

 折しも、この日は風鎮祭の日で、半夏生と重なり、境内の手水にはあふれるほどの片白草が浮かべられていた。また境内にはテントが設えられ、猛暑の中たくさんの人が正装で参加されていた。我々も吟行中ではあったが、風鎮祭を見学させていただいた。広い境内には遊具を置いた公園もあり、家族連れの憩う姿を見かけた。吟行は午前中で終わったが、風鎮祭は夜に大層な盛り上がりを見せ、河内音頭や花火の奉納が行われる。拝殿の歌手の歌に合わせて老若男女が踊り続ける。盆踊りが終わると、風鎮大祭の締めくくりとなる風神花火(火の御馳走)をお供えする。拝殿の前で姿勢を正し燃え尽きるまで風神花火を持つ。一般の人でも参加希望者は火の粉の舞いあがる風神花火を持って奉納することができる。風神の杜を赤く染める風鎮祭は毎年七月の第一日曜日に行われている。

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